【体験談】40代からのおさんぽ留学のススメ

お疲れ様です。Ayukoと申します。
2025年1月からCCTB(Canadian College of Technology and Business)という私立カレッジでUIUXデザインコースを受講している、ちょっぴり大人な40代現役UIUXデザイナーです。
私がなぜ留学したのか、どんな勉強をしているのかなどは、Twinsカナダ留学さんにインタビューしてもらった動画がありますので、よかったらそちらをご覧ください。
これを見た友人からは「富豪みたい」「お忍びの芸能人」「貴族のアソビ」と散々いじられており、そちらについては極めて遺憾です。
そして今回はTwinsカナダ留学主催の「コープ留学 Advent Calendar 2025」の4日目を担当することになりました。
共通のテーマが「コープ留学と私」ということなんですが、もうだいぶいろんなこと動画で話しちゃってて、まあどうしましょう。
ネタ被り防止で「39度の高熱を出しながらマッチングアプリでロマンス詐欺を撃退した話」でも書こうかと思いましたが、「さすがに留学関係なさすぎるだろ」とほんとに怒られちまいそうですので、
「40代からのおさんぽ留学のススメ」
をテーマに書かせていただこうと存じます。
留学なのにおさんぽとはこれいかに。
それではよろしくお願いします。
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留学中はどうしても「目的」に追われがちです。
語学を学ぶ、仕事を得る、スキルを伸ばす。
すべて大切ですが、「なぜ自分はこれをしているんだろう?」と感じる瞬間もあるのではないでしょうか。
そんなとき私がふと思い出すのが、日本のインダストリアルデザイナーであり筑波大学名誉教授である蓮見孝先生のお話です。
「目的を持つこと」と「成り行きに委ねること」
この二つの違いを、先生はとてもわかりやすく印象的に語ってくださいました。
以下、先生のお話を紹介させていただきます。
※デザイナー向けの講義内容をかなり意訳しております。
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まず、人の行動には大きく分けて二つのタイプがあります。
プラクティス(Practice)=目的志向の行動と、
プラティーク(Pratique)=成り行き志向の行動です。
(※PracticeとPratique:ピエール・ブルデュー著「ディスタンクシオン」より)
この二つを、先生は印象的な比喩で説明されました。
プラクティス=「通勤族」
プラティーク=「お散歩族」。
どちらも「歩く」という行為は同じですが、その意味はまったく異なります。
「通勤族」は目的地に向かって早足で歩き、決められた時間に間に合うことを優先します。
そのため“歩く”行為そのものを楽しんでおらず、むしろできることなら歩きたくもない。
結果、歩いている途中の記憶はほとんど残りません。
一方で「お散歩族」は、特に目的地を決めず、右を見たり左を見たり、気の向くままに歩きます。
だからこそ“歩いている時間そのもの”を楽しみます。
そして、道ばたの花や見かけた子犬の姿などが豊かな記憶として残っていく。
現代人はどんどん「通勤族化」していっています。
仕事も勉強も子どもの遊びでさえも、「誰かが用意した目的」に沿って進められている。
それは「自分の感性」を少しずつ失っているということではないのか。
さらにこの話は「能力」という視点でも捉えることができると言います。
プラクティス的な生き方は、学習によって身につけた既成の知識やスキル、つまり「Ability(能力)」を使うこと。
プラティーク的な生き方は、生まれながらの感性や、日々の体験の積み重ね、つまり「Power(力能)」を使うこと。
ほとんどの人は「Power」を活用しない、なぜかみな「Ability」で解決しようとする。
しかし本当に豊かなアウトプットを生み出すためには、この二つを「掛け合わせる」ことが大切なのだと、先生は語られました。

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バンクーバー生活ももうすぐ一年。国籍も年齢も様々な人と出会うことができました。
その中で、ふと先生のこのお話を思い出すことがあります。
日本人留学生の多くは、「Ability(能力)」を高めるために留学しています。
それはとても健全でまっとうな考えです。限られた時間とお金を投じるのだから、少しでも多くを学びたいと思うのは当然のこと。
ただ、あまりにもAbilityだけに意識が向きすぎているのではないかと感じることがあります。
Abilityだけを求めると視野が狭くなり、感性つまり「Power」が鈍っていく。
すると次第に、環境や制度、自分自身などへ不満が募り、「留学は失敗だった」とすら感じてしまう人が少なくありません。
けれど、Abilityだけを得ることが果たして留学なのか?
勉強や能力、就職といった実利だけでなく「感性を豊かにする」「日本ではできない体験を重ねる」といった考えを持つだけでも、見える世界は大きく変わるはずです。
それこそがPowerを育てること、つまり「人間性の成長」なのではないかと、私は思うのです。
そしてこの「人間性の成長」は、40代以上の大人世代にこそ、より深く実感できるのではないでしょうか。
私たちはすでに一定のAbilityがあり、ちょっとしたおカネや気持ちのゆとりがあります。
その「余裕」こそPowerを育てるための最高のパートナーです。
20〜30代が全力で「Ability」を磨く時期なら、40代以降の留学は「Power」を耕す時間。
ブラジル人の友人とゲームについて語り合ったり、24歳の子と恋バナに花を咲かせたり、お気に入りのカフェを見つけたり。
そんな日々の小さな体験の積み重ねを、もっと「価値あるもの」として受け取っていいのではないか。
たとえ英語が完璧でなくても、目に見える成果がなくても、自分の中で「世界の見え方」が変わったならそれは確かな人間としての成長なのだと。
そう気づけたとき、「この留学は失敗だった」なんて言葉はもう必要なくなるんじゃないかなーなんて、そう考えたりしています。
だから「いい年なのに今更留学なんて」と思っている、大人のみなさん。
安心してもっと気楽に、トライしてもいいと思いますよ!
(めっちゃ金かかるし、事務系の手続きは本気で面倒なのは否定しません)
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以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
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